PRECOUNT/城谷英司

老舗の中堅レコード会社で音楽ディレクターとして働いていたぼく、サトルは、新しくバンドに参加することに。けれどメンバー探しは難航を極める。前代未聞、情熱と根性のバンドメンバー捜索ストーリー。
毎週火曜日更新。

【著者プロフィール】
ライトノベルを中心に執筆活動を続ける。本作では、新たな筆名で一般文芸に挑む。

Backnumbers

音楽ディレクターの男10

キバさんの話は、いちいちぼくの感覚を震わせた。要するに、自分たちの作品を納得できるまでつくり込んで、宣伝やメディア展開も自分たちで企画して、リリースして、自分た…

音楽ディレクターの男09

「わ、わかりましたけど。具体的に何をどうすりゃいいのか…」「とりあえず、経歴書をとっとと出して、ミヤタさんに会社を辞めます、ってことだけは言っといたほうがいいな…

音楽ディレクターの男08

次にキバさんから連絡があったのは、ニシオカさんととりふくに行ったときから2週間ほど。宮中しほりの仕事を打ち上げた日のことだった。「夜、とりふく20時。今後の話を…

音楽ディレクターの男07

いよいよ、何か始まるのか。一瞬、顔がこわばったのを、ニシオカさんが見逃すはずがない。 「なになに、どうした?」「いや、いまキバさんからLINEが来て。これからの…

音楽ディレクターの男06

キバさんは、ぼくらと同じ、鹿浜橋ミュージックのディレクター。入社してすぐ、ニシオカさんが教育係についてくれて、2年ほどノウハウを学んだ。そしてこれからは現場で戦…

音楽ディレクターの男05

「しかしリスケはしんどいよな。俺も昔、担当アーティストから、ペットの犬が下痢だからレコーディング延期してくれ、って言われてさ。ぶん殴ってやろうかと思ったよ」「あ…

音楽ディレクターの男04

一息ついたはいいが、やることがなくなった。ヒマを持て余して制作スタジオの予定表をみると、いちばん狭いB4スタジオが空いている。会社のロッカーには、自分のベースが…

音楽ディレクターの男03

アパートとマンションの中間のような自宅に着いた。シャワーを浴びて、厳重にカーテンを閉める。真っ暗でないと眠れない。昼夜が逆転することが多いので、日当たりの良さが…