曲の作り方について 01
ぐちぐちと暗い話だけしていても気が重くなるだけなので、曲を作ることについて話をしようと思う。
とりあえずメトロノームをつけて、それに合わせてメロディを打って、録音する。だいたいどんな譜割りなのか把握できれば、よたよたした録音でいい。そのあと、そのメロディにどんな伴奏が欲しいかをキーボードで一つずつ確かめる。その音に一番合いそうな和音を探す。コードが決まったら、ここのドラムはシャンシャンして欲しいなとか、ベースはブイーンって感じのが入れたいなとか、わがまま放題入れて完成だ。
今まで何度か「どうやって曲を作るのか」と問われて、そのたび上記のように説明した。そしてそのたび「参考にならない」と言われてしまっている。作っている当人もほぼなんとなくだから仕方がない。
実をいうと音楽の理論は基本のキくらいしかわからない。勉強しようかと思ったことももちろんあったが、勉強してしまうと今のような曲は書けなくなるのではという心配もあって、なんやかんや後回しにしている。(スランプに陥って、曲が書きたくても書けなくなってしまったら手を付けようかななんて思っている)
とにもかくにも私の曲は、ほとんどメロディから生まれる。これが思いつかないと何も進まない。
頭の中に浮かんだ時には大体どんな雰囲気の曲なのかも既に決まっている。どういう風景の中で歌いたいかが何となく、メロディが思いつくときに一緒についてくる。この曲は曇り空で雨が降っているといいとか、この曲は午前中の明るい海で、波打ち際を誰かが裸足で歩いていたらいいとか、登場人物はどんな気持ちかとか、そういう、他人に話すにはちょっとだけ気恥ずかしいような一コマが頭にある。
コードを付ける作業は、自分の頭の中のシーンに合うものを掘り探すようなイメージだ。理論のわからない私には、これがひたすら鍵盤を一つずつ押す手作業なのでしんどい。楽をしようとして「おすすめコード進行」とかの一覧が載った本を買ったこともあるが、悲しいかな、一つもピンと来なくて見事に箪笥の肥やしになった。これに関してはもう、どんなに面倒くさくてもひとつ残らず自分でちゃんと探し出そうと決めた。結果的に一周回って本に書いてある通りになってしまってもそれでいい。
頭の中の風景を、どの筆・どの絵具で描いたら自分が満足するかというだけの話だ。一つ一つに納得したかった。納得するための作業だった。