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第3回 ジャズベースとプレシジョンベースの憧憬 後編


ぼくはプレベは買ったことないんだけど、さっき話してた三撃について、もうちょっと聞かせてよ。


ジャズベとプレベの違いでいうと、まずはピックアップの数。ジャズベは2つ、プレベは1つ。サーキット(回路)も、ジャズベはほとんどが2トーン、2ボリューム。ジャズベはトーンはなくて、ボリュームだけ。


要するに、ジャズベはいろんな音作りができるってことだよね。2つのピックアップは、それぞれ、硬い音、柔らかい音を拾う。片方だけでもいいし、両方拾ってパワーのある音にしてもいい。トーンも付いてるから、低音を利かせたり、高音を伸ばしたり、自由度が高い。一方でプレベは、ボリュームが1つ付いてるだけ。音作りの自由度はほとんどない。これが一撃め。笑


そして、指板の幅がぜんぜん違う。いちばん細いとこでも、5~7mm違うよね。太いところだとその差は15mm以上にもなる。指板は幅が狭いほうが、手が小さい人でも弾きやすいし、ギターから転向した場合でも違和感は小さいはず。これが二撃め。


最後に、ネックが太いということは、当然ながら体積も大きいわけで。だから、重いことが多い。ジャズベースはだいたい4.2kg前後、プレベは4.8kg前後といわれてます。もちろん材質や塗装によって幅はあるけど、総じてプレベのほうが重いのが普通だよね。そしていうまでもなく、重いほうが疲れます。笑


うーん、見事な三撃。。。これじゃあ、プレベに勝ち目はないんじゃ…。


そんなことない!プレベにもいいところはたくさんある!


熱量が凄い。。。


まず、音作りのバリエーションが少ないということは、どんなシチュエーションでも「プレベの音」が出せるということでもあるわけで。ゴリッとした武骨でパワフルな音だけど、それが最大の魅力であることも間違いない。


ジャズベよりも低音が強いから、バンドアンサンブルでも埋もれないんだよね。やっぱりプレベはパンクやオルタナでスピード感のある曲をピックでゴリゴリ弾く、みたいなイメージがあるし、それが最大の魅力なのは確かだけど、それだけじゃない。2000年代のソウルやR&B、シティポップみたいな作風でも、ベースはプレベだったりするし。ハマ・オカモトさんも、プレベでスラップしたりしてるし。


それに、幅広だったり重かったりするのも、悪いことばっかりじゃない。幅広だから、ロックスタイルじゃなくてクラシックスタイルを多用せざるを得ない。けど、クラシックスタイルに慣れることで、動きのあるベースラインに対応できるようになる。ロックスタイルだと押弦に薬指とか小指をあんまり使わないから、動くベースラインだと難しい。

クラシックスタイル。親指を指板の裏側に当てて支点とする。複雑な運指にも対応でき、指板を見なくても感覚的にフレット移動できるなどのメリットがある。。
ロックスタイル。ネックそのものを握り込むような形。強い力で安定的に弦を押さえられるのがメリット。


要するに、プレベに慣れるとベースがさらに上手くなる、っていうのは確かだと思う。幅広も重さも、慣れれば済むし、むしろ別のベースを持ったときに弾きやすくて感動する。笑


あえて音のバリエーションが少ない、弾きにくいとされるベースを持つことで、そこらへんがわかってる人からは一目置かれるとも思うしね。笑


プレベを使いこなせるってことは、ベーシストとして大きく成長するってことだから。毛嫌いしないで、いっぺん持ってみて欲しいです。💪

今回のまとめ

プレベはベーシストとして成長するために必須のアイテムなのだ!